ハッカーになりたかった少年——好奇心が専門技術に変わるまで

ハッカーになりたかった少年——好奇心が専門技術に変わるまで
コンピューターの仕組みを理解し、自分の操作で何かを動かしてみたい。その好奇心は、どこへ向かうのだろうか。
オランダの倫理的ハッカー、チェスター・ファン・デン・ボーハールト(Chester van den Bogaard)氏は、政府機関にシステムの脆弱性を報告する活動を続けてきた人物だ。2024年10月にオランダ国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が公開したインタビューでは、当時33歳の彼が、少年時代から専門教育へ進むまでの経緯を語っている。
その歩みは、幼いころから将来を決めていたという、一直線の物語ではない。興味を持ち、離れ、あるきっかけで再び戻ってくる。その転機には、警察のウェブ配信と一通のメールがあった。
始まりは、9歳か10歳のころ
チェスター氏によれば、ハッキングを始めたのは9歳か10歳のころだった。
当時使われていたメッセージサービス「MSN」のパスワードを知ることや、他人のコンピューターのCD-ROMドライブを開く操作などに触れたという。それを非常に不思議で面白いと感じ、ハッキングの世界をさらに調べるようになった。
ただし、原記事は、当時の個々の行為がどのような状況で行われたのかまでは説明していない。相手の許可の有無や、そのときの具体的な出来事を、この回想から補って語ることはできない。
ここで本人が語っているのは、コンピューターに働きかける技術への関心が、幼いころに芽生えたということだ。
いったん離れた興味を、再び呼び戻したもの
その後、彼は数年間、ハッキングから離れていたという。
再び関心が強まったのは20歳ごろ。オランダ警察の「Team High Tech Crime」によるウェブ配信を見たことがきっかけだった。
子どものころに面白いと感じた技術を、専門的に学ぶにはどうすればよいのか。チェスター氏は、配信を見るだけでは終わらなかった。どのような教育を受けるべきか、直接メールで問い合わせた。
返ってきた助言は、ライデン応用科学大学でフォレンジックICTを学ぶというものだった。そして彼は、その助言に沿って進学したと振り返っている。
原記事には、メールの全文や進学までの詳しいやり取りは掲載されていない。それでも、興味を持った対象に自分から問いかけ、学ぶ道を探したという行動は読み取れる。
攻撃と防御の両方を知る
チェスター氏は、フォレンジックICTで学んだことが、攻撃と防御の双方について技術的な知識を得る助けになったと説明している。
弱点がどのように生まれ、どのように悪用され得るのか。その仕組みを理解することは、脆弱性を見つける活動にもつながる。
一方で、学ぶ場は学校だけではない。インタビューでは、YouTubeや学習サービスなど、オンラインにも多くの教材があることに触れている。
ここで重要なのは、彼が学習の機会を紹介するだけで話を終えていないことだ。実際に試す際にはルールを守り、無関係な相手を勝手に攻撃してはいけないと、同じインタビューの中で強調している。
学んだ技術を、どこで試すのか
技術を理解すると、自分にもできるのか試したくなる。しかし、その気持ちだけで他人のシステムへ入ってよいわけではない。
チェスター氏が活動の場として選んだのは、定められた条件の下で脆弱性を調べ、政府側へ報告する仕組みだった。
少年時代に芽生えた関心は、専門教育を経て、弱点を見つけて知らせる活動へとつながっていく。
その活動を始めたとき、彼が目標にしていたものは意外に身近だった。重要な発見への報奨として贈られる、一枚のTシャツである。
次回は、そのTシャツから始まった挑戦と、彼が報告を続ける理由をたどる。
出典:オランダNCSC、2024年10月24日公開のChester van den Bogaard氏へのインタビュー。
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シリーズ:チェスター編・第1話/全3話
26/10/20
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